「いや、違うね。相性はいいんだよ、凄まじく」
小牧は断言した。
「だから『やれちゃう』んだ。極限まで、徹底的に、互いを信じ切って、そして全力を尽くした結果がこれだ」
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メディアが規制され、本を没収するメディア良化委員会から本を守るべく生まれた図書隊の活躍もこれにて幕です。
しかし冒頭で原発テロが起きたときは小説を間違えたかと(笑)。
テロがお手本にしたと思われる小説が槍玉にあげられるあたり、今でも少年犯罪が起きるたび「ホラー漫画を読んでた」とか本が責められちゃう日本ではいかにもありそうな話です。
ところがそれをメディア良化委員会は好機ととらえ、作家に本を書くことそのものを禁じようと画策し始めました。
事実上の「言論の自由」の剥奪です。
と、いうわけで図書隊はその作家を保護し委員会と戦う一方、世論が盛り上がっている今こそ検閲を廃するチャンスでもあると動き始めます。
まさしく革命。
作家の保護を命じられた堂上隊の活躍、そして恋心を自覚した主人公・郁と堂上の恋の行方など最終巻にふさわしい盛り上がりでしたね(恋愛パートはちとベタすぎる気もしますが(笑))。
ただ、「あれ?」と思ったのが事件から数年後を描いたエピローグ。
つか最後の2行が変。
郁が入隊した頃と変わらない難しい表情は、上官だからというわけではなく素だったことが付き合いだしてから分かるようになった。
……え? ここで「Fin」がついちゃうの?
どう読んだってこれって『場面の途中』の文章でしょ?
ここで切ったらすごくすごく据わりが悪いでしょ?
普通に続きがあると思ってページめくったら「後書き」で、一瞬真剣に落丁だと思いました。
まさかこんなに終わらせ方の下手な作家さんだったなんて……意外です。
「終わりよければ全てよし」という言葉がありますが、逆に終わりがいまいちだとそれで一気に点が下がっちゃうんですよね。
エピローグの前までは面白かったのに残念です。
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外伝は堂上&郁のベタなラブコメらしいのですが、私の大好きな手塚&柴崎の行方を知るためには読まねばなりますまい……(涙)。
「世界全部が間違っていて一人だけが正しいなんてこと、あるわけがないと思っていたがな。あんたは例外らしい」
「認める?」
「わからない。でも二人が正しいと思ったなら、正しさは倍だ」
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SF小説の旗手・小川一水の短編集。
宇宙へと続く軌道エレベーターを中心に栄えた東南アジアのリンガ島で働く日本人(なぜか)女性たちが主人公です。
でも彼女たちは別に厳しい訓練を受けた宇宙飛行士などではなく、『宇宙』に携わる様々な事業に何らかの形で関わっているというだけの、普通の、働く女性ばかりです。
携帯食器などの工業デザイン会社に勤めるデザイナーや、宇宙で働く作業者達の子供を預かる保育士や、ちょっと風変わりなところだとアーティストや船のキャプテンなど。
しかし意外なほど今の働く女性と悩みは一緒です。
やる気のない上司に憤ったり、女性だからと軽んじられ嫌がらせをされたり。
人々が宇宙で働く時代になっても確かにこういうことは変わらないのかなあと思うと、ちょっと溜息が出ちゃったり。
でも人間は変わらなくても、世界は変わっていく。人々は宇宙へ出て行き、女性もそこで活躍できる時代が来る。
そういう日が早く来ればいいな、と素直に思いました。
「いいか? 他人様がどう思おうとかまわない。自分が自分のことをどう思っているかが問題なんだ。他人がどうせ暴力団だと思っているからそれでいいなんて思ったときから、てめえは暴力団になってしまうんだ。俺たちはヤクザだ。誇りをなくしたら終わりなんだよ」
![]() | とせい (中公文庫 こ 40-8) (2007/11) 今野 敏 商品詳細を見る |
最近警察小説で名前が売れてきた今野敏ですが、私は実は10年以上前からのファンです(笑)。
ちょっと当たり外れのある作家でしたが、特に安積警部補シリーズが好きで。
この『とせい』は、総勢6人の小さな『組』が組長の物好きから潰れかけた出版社を引き受けたり、借金の取立てを頼まれた町工場を立ち直らせたりする、ちょっと都合よすぎのハッピーエンド小説です。
覚醒剤やら拳銃やら扱ってしまう『暴力団』ではなく、義理と人情が生きていた時代の『ヤクザ』たち。
読んでいてとても楽しいお話でした。
実際にはもうこんな極道のひとたちはいないんでしょうけれど、出来ればどこかでひっそり生きていて欲しい、そんな小説です。
ちょっと幸せな気持ちになりたいときにどうぞ。
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「変な人。わたしたちの周りの大人はみんな、汚いことをきれいな言葉にすり替えるのに。あなたは逆」
「逆じゃない。汚いことばかり考えてる。きれいな言葉を知らないだけだ」
私が顔を覗き込むと、葵が吹き出した。
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フィリップ・マーロウに憧れて私立探偵になったものの、舞い込む仕事はペット探しばかり―――そんな探偵、『ハードボイルド・エッグ』の最上俊平が帰ってきました!
ちょっとほろ苦い結末を迎えた前作から3年、マーロウに憧れる探偵はしかしペット探偵として名が売れつつあったりして、世の中とは思うようにいかないものです(笑)。
前作はお婆さんが助手で犬探しが仕事でしたが、今回はまるっきり反対で少女が助手で猫探しが仕事。
どちらもトラブルの匂いがぷんぷんします(笑)。
ただ、2匹のロシアンブルー(猫好きには垂涎の的ですね!)探しが舞い込んだ時点で2匹が同じ猫というのは予測がつきますし、ちょっと内容の割には話が長すぎるかなという気もしました。会話とかは面白いんですけどね。
相変わらずマーロウのごとき名台詞を考えては空ぶってばかりいる探偵ですが、上の台詞はバッチリ決まりました。
心から相手を思っているからこそ出る、誠意ある言葉です。
そして彼はペット探偵をしているわりに決して犬や猫が好きなわけではないのですが、それは普通にペットを飼う人の好き嫌いとは少し違って、ペットではなくそれぞれの犬や猫の人生(?)を尊重しているというか、やたら甘やかしたりしない、ある意味人間と同じように接している。これってすごいことだと思います。
しいて分類するならハードボイルド風味ハートフル・ミステリってところでしょうか。
興味をもたれた方はまず一作目からどうぞ。。
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久しぶりに恩田陸を面白いと思った(笑)。
ちなみに内容は本当に『ガラスの仮面』でした。
大学の演劇サークルに突然現れ、芝居の経験はないというのに天才的な演技をする少女・佐々木飛鳥が北島マヤ。
そして俳優一家に生まれついたサラブレッドの東響子がもちろん姫川亜弓ですよ!
当然最初は全く接点のない二人なのですが、芸能界で伝説の大物が女優2人が主役の芝居をやるためのオーディションを始めていて、初舞台を踏んだばかりの佐々木飛鳥にもそのオーディションが回ってくるのです。
一方、自分が本当に女優としてやっていくのかまだ踏ん切りがつかずにいた東響子は自分にはそのオーディションの話が来なかったことにショックを受け、こっそりオーディションを覗きに行って佐々木飛鳥の芝居を見、衝撃を受けるわけです。
果たしてふたりの天才が衝突する舞台で何が起きるのか―――。
と、いうわけで『ガラスの仮面』好きな方にはぜひオススメです(笑)。
一気読みしてしまったのですが、やっぱりふたりの対決あたりが印象に残りますね。
『ガラかめ』も、無理してどっちか『紅天女』に決めるとこまで持ってこうとしなければきれいに終わったのかも、などと思ってしまいました。
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