自尊心というのはね、と裕一は、過去の自分を憐れみながら考えた。自殺をしようとする人には絶対にないものだよ。自分を小さく見ている人には、自尊心なんかないんだ。
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<あらすじ>
東大受験に失敗して自殺した裕一は、同じく自殺して成仏できずにいた3人の仲間と共に、天国行きと引き換えに100人の自殺者を救うよう神様に命じられる。
と、いうわけで分類としてはファンタジーかSFかという設定で、すらすらと読めました。
でも内容は決して軽くはないです。
何回も泣きそうになりました。
かつて自殺した4人は、神様のくれたアイテムで自殺しそうな人を探し出し、なんとか自殺を思い留まらせようとするのです。
それぞれに自殺した理由があり、よく似た理由で自殺する人を救うことで自分も癒されていく。
そういう話なのですが、実際この日本には孤独な人々が溢れているのですね。
日本では1年に約3万人も自殺しているそうです。なんと1時間に約4人。
多くの人が、孤独や病気、借金やいじめに苦しんでいます。
そしてつらいときにはそのことしか考えられなくなり、よけい自分を追い詰めてしまう。
でも死んでしまったらおしまいなんだ―――それを何よりも彼らは知っているのです。
そんなに深刻にならずに、でも一度読んでみて欲しい本です。
きっとどんなに悩んでも、死を選ぶのは最後の手段と思えるから。
人と人との結びつき、心身の健康、そして経済。この三拍子がそろっていれば、誰も自殺なんかしなくなるのではないかと裕一は考えた。逆に言うと、どれか一つが傷ついた途端、人の心は試されることになる。この世を好きなままでいられますか、と。
「淋しさを感じさせる声は、数は少なくても珍しいものではありません。ただこの<淋しい>にも、ふたつの種類があると、アンケートによって発見され、音の質の上でも分けられたんです。ひとつは、淋しくてつらい、或いは悲しい、やりきれない……。ま、これがほとんどです。残る、もうひとつ。これは、本当に数が少ないんですけど……淋しいんだけど慰められる、淋しいけれども励まされる、淋しいけれど勇気が出る……」
(中略)
「彼の声は、そこにあてはまるんですか」
「そう。孤独の歌声」
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『永遠の仔』で有名になった天童荒太の初期の作品。
実はメジャーになる前から好きだった、というかこの本が好きでした。
正直言うとすごく青臭いんですが。
心に傷を負った女刑事と、歌手を目指す青年。
彼の歌は、よくあるバンドのように愛だの夢だの楽しいだの、そんな陽気なうたではありません。
ひとりでどんどん突っ走って、誰も彼も突き放して、けれどけっして淋しいとは言わない、そんなうた。
孤独の歌声。
そんな彼の歌が、けれど次第に人々の心に届いていく、そのへんがすごくファンタジーぽいんですが(笑)好きでした。
ドラマでは誰が歌ったんでしょうか(というか歌う場面あったのかな?)。
そのあと発表された『家族狩り』も衝撃でしたが……。
逆に言うと『永遠の仔』はちょっと洗練されちゃって衝撃度下がった感じでした。
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「おれは人間だ」
「そう信じるのは貴官の自由だ」
「……つまりだな、人間である以上、無謬ではありえん。百回作戦をたてれば、ひとつやふたつやみっつやよっつの錯誤があるのは当然だと俺は思う」
「確かに、いつつやむっつの失敗があっても当然だな」
七都市物語
田中 芳樹

と、いうわけで今日のひとことは田中芳樹の名作『七都市物語』から。
この本とても好きで続編を待っていたのですがとうとう幻となり、最近、若手作家がこの世界を元ネタにした作品集が出ましたがやはり今ひとつでした。
それにつけても人生七転び八起き、私もサイトを幾つも抱えて手が回らず、こちらのブログも放置しがちで色々到らないこともあるかと思いますがどうぞご容赦下さい。
失敗のいつつやむっつやななつややっつ……(涙)。(いやここまでいったらもう論外か)
七都市物語 シェアードワールズ
田中芳樹(原案) 小川 一水 森福 都

「おれはシェーンコップ中将みたいに悪いことは何もしていない。それなのに何だって30歳にならなくてはならんのだ」
「おれとしては、何も悪いことをできなかったような甲斐性なしに30歳になってもらいたくないね」
銀河英雄伝説〈VOL.20〉落日篇(下)
田中 芳樹

書類を探して部屋をひっかきまわしていたら、なんとずっと昔に書き留めていた『銀河英雄伝説』の中のお気に入りの台詞集など見つけてしまいました。
私ってば昔から同じようなことをしていたんですねえ(笑)。
『銀河英雄伝説』を初めて読んだのは高校生の頃ですが、アニメや漫画になったりリニューアル再版されたりで、今の若い人でも(ああっ我ながら年寄りくさい言い方(涙)!)知っている人は多いのではないでしょうか。
そんなわけで書き留めてあった台詞から選んだのが上のアッテンボローさんと永遠の不良中年(笑)シェーンコップさんの会話。
私はもうとうに30歳を過ぎてしまって、今考えるとあの物語の主要メンバーたちって本当に若かったんだなと思います。
そして、男の人っていいよなあ、と。
「何も悪いことをできなかった」のが「甲斐性なし」になるのは男性だけですもの(笑)。
<『銀英伝』を読まないなんて人生損だ!>
銀河英雄伝説外伝〈4〉ユリアンのイゼルローン日記(上)
田中 芳樹

外伝なら断然『イゼルローン日記』がオススメ! 私はクローバーのエースの大ファンです♪
13階段「他人を殺せば死刑になることくらい、小学生だって知ってるよな?(中略)罪の内容とそれに対する罰は、あらかじめみんなに伝えられてる。ところが死刑になるやつってのはな、捕まれば死刑になると分かっていながら、敢えてやった連中なのさ。つまりあいつらは、誰かを殺した段階で、自分自身を死刑台に追い込んでるんだ。捕まってから泣き叫んだって、もう遅い。(中略)どうしてあんな馬鹿どもが、次から次に出てくるんだろうな? あんな奴らがいなくなれば、制度があろうがなかろうが、死刑は行われなくなるんだ。死刑制度を維持してるのは、国民でも国家でもなく、他人を殺しまくる犯罪者自身なんだ」
高野 和明

今日で地下鉄サリン事件から丸11年が経ったそうです。
11年!
あれほどの犠牲者を出し、いまだ後遺症に苦しむ人々が大勢いるというのに、いまだに裁判は終わっていません。
ご遺族の方々の苦しみ、悲しみを思うと胸が痛みます。
日本の裁判は時間がかかりすぎると思います。
信じられないといえば、先週、弁護士が裁判をすっぽかしたというニュースがありました。
裁判が進めば死刑判決が下される可能性があるので、死刑廃止論者である弁護士が裁判引き伸ばしを図ったのだろうと言われています。
まったく信じられないことです。
個人が死刑廃止を訴えるのはもちろん自由です。
ですが仮にも弁護士ならば、あくまで現在の法制度に則って被告を弁護すべきです。
とはいえ、乱暴目的で民家に押し入り、騒がれたために赤ん坊ともども妻を殺したような短絡的な犯罪者が死刑を免れるようなら世も末だと私は思いますが。
この弁護士は突然妻と子供を見知らぬ男に殺された夫に対し、死刑廃止を訴えることが出来るのでしょうか?
罰とは本来、犯罪の抑止のためにあるのであり、罪を犯したものを改心させる為にあるのではないはずです。
ゆくゆくは裁判員制度が実施され、自分自身が犯罪者を裁く日が来るかもしれない今、私たちは皆、罪と罰について自分なりの考えを持つ必要があるのだと思います。
グレイヴディッガー
高野 和明

『13階段』はもちろん、こちらもミステリとしても一級品です!









