「医者には古いも新しいもない。みな、自分の姿勢で誠意を尽くして患者に相対しているだけだ」
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『チーム・バチスタの栄光』シリーズ、一作飛ばして3作目です。
表紙は黄色、青と来て今度はタイトルにあわせて赤。
舞台はバチスタと同じ桜宮市の東城大学医学部付属病院病院で、主人公も愚痴外来の田口先生。
と、言いたいところですが今回主役はどう見ても『ジェネラル・ルージュ』こと救急医療チームの速水部長でしょう(笑)。
田口が委員長を務めるリスク・マネジメント委員会に、速水部長の収賄を告発する文書が届き、それを調査するというストーリーで、バチスタに登場した白鳥も出てきます。
が、やはり今回はほぼジェネラルの独壇場。
さっそうと血染めの白衣をひるがえし、重傷患者が押し寄せる戦場と化した病棟でルージュを引いて指揮をとる『血まみれ将軍(ジェネラル・ルージュ)』がとにかくかっこよすぎ(つけすぎ?)というか、映画俳優みたいです(笑)。
そのあたりはちとうさんくさいほどなのですが、扱われている医療現場の経営問題は深刻。
先日『貧困大国アメリカ』を読んだばかりなので特に興味深かったり。
いまや救急医療・産婦人科・小児科は病院の金食い虫ですか……。
この問題は今後現実でも注視していかなければなと思います。
しかしラスト、表紙からしてもジェネラルがヘリ乗って飛んでくるのかと思っていたのでちょっと物足らない気がしちゃいました(笑)。
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「可能な限りのことをやらせていただきます。それはお約束します。さて、私たち警察があなたがたにして差し上げることは既に地域課長からも私からも申し上げました。それでは、あなたがたは警察に対して何をしてくださいますか?」
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『隠蔽捜査』で賞を取って以来、今野敏も世間に注目されるようになってきたようで、本屋でフェアなどやっていますね。昔からのファンとしては嬉しい限りです。
さて今回は『隠蔽捜査』の続編。息子の不祥事で大森署の署長にトばされた竜崎ですが、ここでも竜崎節は健在。
地域でのPTAとの意見会でも堂々とこんなことを言っちゃいます。
でも確かに彼の言っていることは正しい。警察が捜査しようとしてもプライバシーの侵害だ、やれ人権だとわめきたて協力しようとしないくせに、警察には「税金で給料もらってるんだから納税者のために働くのは当たり前」なんてずうずうしいにもほどがあるってもんです。
そういや大阪の橋本知事が警察官削減と言い出して猛反発くらってましたが、私も警官削減は反対。
ムダな公務員は減らすべきですが、治安が悪くなるばかりのこのご時勢、いっそムダなハンコ押しをしてる公務員は全員警察にシフトしちゃえば、と思うんですが。
閑話休題。
して今回は、竜崎の管轄内で立てこもり事件が発生。交渉専門のSIT、襲撃専門のSAT、そして所轄の責任者として前線に立った竜崎ですが、ついにSATが乗り込み犯人死亡で事件は終わったかに見えましたが、犯人が持っていた銃は弾切れだったことから世論が反発。
責任問題に発展し、竜崎も査問を受けることに―――。
果たして彼は彼の正義を貫けるのか。
途中、妻が救急車で倒れたりして、家の事が何もわからない竜崎も「日本のお父さん」だなあ、とちょっと愛しくなります。
だがしかし、東大に入りたい息子が「アニメやりたい」って、竜崎にアニメを理解をしてもらいたいと見せる映画が『ナウシカ』ってどゆこと。
竜崎とナウシカ……すごい組合せです(笑)。
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「そうだ。お前の人生はお前のものだと言った。ならば、その人生のためにあらゆるものを利用しないと損じゃないか。利用するなら、最高のものを利用したほうがいい。東大はそのための一つの条件に過ぎない。だが、その条件すらクリアできないで、人生、好きに生きたいなどと言っているのは、所詮、負け惜しみに過ぎないじゃないか」
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主人公の竜崎は国家公務員のいわゆるキャリアで、警察庁長官官房の総務課課長。
一流私大に受かった息子を東大以外は大学じゃないと浪人させたり、出世する気のない同僚を軽蔑したり、ちょっと見は嫌な男です。
でも非常にはっきりと一本芯が通っている。
彼は出世したいと望んでいますが、それは出世することによって「権限が増える」、つまり自分が正しいと信じたことが出来るようになるからです(『踊る大捜査線』の室井さんも言ってましたね!)。
そして国家公務員とは国民に奉仕することが役割であり、そのための激務は当然だと思っている。
いわゆる「ノブレス・オブリージュ」、『高貴なるものの義務』がキャリアにはある、そう本気で思っている男なのです。
そんな彼は官僚の中でさえ変人扱いされていますが、その方がおかしいですよね。
さて現在総務課課長の竜崎ですが、ある日息子がヘロイン煙草を吸っていたことを知り、ひどい衝撃を受けます。
自分の出世の将来は当然閉ざされますが、でも揉み消しを全く考えないところはすごい。
そして同じ頃、少年のときに重大犯罪を犯しながら数年の刑期で出所していた男達が続けて殺される事件があり、それはやがて警察全体を揺るがすほどの大事件に発展していきます。
そのとき、竜崎はどう動くのか。
テーマは重いですが、竜崎のキャラクターもあって意外と読みやすく、続きが気になって一気読みしてしまいました。
そしてラストの部下の台詞。
「もし、課長が異動になるとしても、その瞬間までは私の上司です。(中略)そして、もし、課長がまったく違う部署に行かれようとも、私はずっと課長を尊敬しています。それを忘れないでください」
きっとこの小説を最後まで読んだ誰もが同じ気持ちになるはずです。
思わずちょっと目頭が熱くなりました。
早速続編を読むぞー!
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「ルールは破られるためにあるのです。そしてルールを破ることが許されるのは、未来に対して、よりよい状態をお返しできるという確信を、個人の責任で引き受ける時なのです」
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表紙が実に鮮やかです。
ようやく文庫化されましたがハードカバーで読了(笑)。
バチスタってドラマ『医龍』でもやってたので有名になったかと思いますが、心臓移植が難しい患者の心臓を切り取って形を整える、難しい手術だそうです。
アメリカから招聘した名医・桐生が率いるバチスタ専門チームが、東城大学医学部付属病院の花形でした。
ところがこのバチスタ手術中の死が相次ぎ、原因が特定できないことから、桐生および病院長は不定愁訴外来(別名・愚痴外来)の万年講師・田口に調査を依頼します。
果たして術死は偶然か、医療ミスか、それとも人為的な殺人なのか?
調査を行う田口の前でしかし次の術死が起こってしまい、新たに厚生労働省から白鳥という調査員が派遣されてきて―――。
前半は田口による聞き取り調査がメインで静かな印象ですが、『ロジカル・モンスター』の異名を取る白鳥が出てきてからは文字通り『攻撃』態勢で、あれよあれよというまに色んな人を怒らせて次から次へと情報を引き出していきます。
正直に言うと医学用語なんかが多くて話についていくのがちょっと大変。
犯人も、「へー……」って感じではありました。
面白かったかと言われれば、「まあまあ」ってところでしょうか。
でも難しい世界を上手く描写していたと思います。
病院の問題点なども盛り込めていたし。
しかし最近、病院は色々と問題になってますね。
地方では医者が足りず、都会でも救急車で搬送される急病人がたらいまわしにされたり、移植問題もなかなか進まない。
高齢化で医療費が嵩むために国民負担も上がる一方、治療費を払うお金があるのに払わない、モンスター・ペイシェントなども増えているようです。
医療は命に直結する問題ですから、国民全体で考えていかないといけないなと思います。
で、小説の方は……田口&白鳥シリーズ化されてるようですが、レビューを見ると当たり外れが激しいらしいです。
読んだものかなあ。
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「あの人は損な人でな。いっしょにいるときは、絶対に感謝されない。だが、離れてみるとありがたみがわかるんだ」
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今野敏の「東京湾臨海署安積班シリーズ」のファンです。
意外と昔から地味にファンでした(笑)。
実際ストーリーも地味は地味なんですけど。
安積警部補とその部下4人が事件を追う警察モノですが、何と言うか、そうだよね、警察官だって人間だもの、色んな人がいて色んな悩みがあるよねえ、と納得してしまう物語。
というか、今野敏は悩める中年を書くのが上手いと思う(笑)。
私のお気に入りはセンチメンタルで警察官らしからぬ須田チョウですが、いまひとつ生真面目すぎて安積さんにちょっぴり煙たがられている村雨さんだって好きなのですよ。
ツキもあって安積さんお気に入りの須田チョウに比べると目立たない村雨さんですが、今回はかつての部下から上のような賛辞の言葉を(ひそかに)浴びてました(笑)。
現実にもいますよね、こういう人。
すごく真面目でかっちりしてて間違ったことはしないんだけど、周囲に煙たがられちゃう。
だけどその人の側を離れてみると、その実力がわかるという。
そんなわけで村雨さんが評価されてちょっと嬉しいお話でした。

















